エアコンの2027年問題。
2022年に経済産業省が、家庭用壁掛エアコンに新たな省エネ基準を定めました。
2027年度までに家庭用の壁掛エアコンは現行の基準より、13.8%~34.7%の省エネ改善が必要になります。
達成できていないエアコンは販売ができなくなってしまいます。
2025年度の最新モデルでも安価なモデルはもちろん、中級モデルでも2027年度の省エネ基準をクリアできていないエアコンがあります。
このことから、2027年度から安いエアコンがなくなってしまうのではないか?エアコンが高級家電になってしまうのではないか?と言われています。
2027年度エアコンは必ず高くなります。
本記事ではエアコンの省エネ改善がどれくらい難しいのか?どれくらいエアコンの価格が上がるのか?を解説し、2027年度になる前にエアコンを買った方がいいのかを考えていきます。

管理人:おすけぞー
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空調機器:ダイキン工業
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家庭用エアコン・業務用エアコン・エコキュート・セントラル空調製品までダイキン製品を取扱しています。
2027年度の省エネ基準
現行基準と2027年度の省エネ基準を数値で見ると以下の表になります。

APFは通年エネルギー消費効率といって、数値が高いほど省エネ性能が高いことを意味します。
現行の基準よりかなり改善しないと達成できないのが2027年度の基準になります。
省エネ性能を改善する方法
エアコンの省エネ性能を上げるのは難しいと思うかもしれません。圧縮機の改良や細かい制御の改善の積み重ねが省エネ性能を向上させてきたことは間違いありません。
でも、簡単に省エネ性能を向上させる方法があります。
室内機・室外機の熱交換面積を大きくすること
エアコンはファンを使って外の空気と熱交換をしています。熱交換をするための部品が熱交換器です。

熱交換器の面積を大きくすることで、エアコンの省エネ性能が大きく改善されます。
タオルを乾かすとき、たたんで乾かすより広げた方が早く乾きますよね。
それと同じで、できる限り空気と接触する面積を増やすことで省エネ性能が上がります。
室内機も大きい方が熱交換がしやすくなるので、大きい方が省エネ性能が良くなります。

高級モデルのエアコンは室外機も室内機も大きいです。
安いモデルのエアコンも高級モデル並みに室外機や室内機を大きくすることで省エネ性能を上げることができます。
高級モデルの機能を詰め込むわけではないので、高級モデル並みに高くなることはないと思います。
ただ、室外機や室内機を大きくすると材料費がかかるので値段は若干上がると予想します。
ダイキンAXシリーズとCXシリーズの比較
高級モデル(AXシリーズ)とスタンダードモデル(CXシリーズ)を比較すると、高級モデルの方が約1割サイズが大きくなります。
AXシリーズ室外機


CXシリーズ室外機





同じ能力でも1割以上、高級モデルの室外機は大きくなっています。
室内機も高級モデルの方が大きくなります。
AXシリーズ室内機


CXシリーズ室内機





室外機は大きくなり、室内機は高さは維持したまま前面方向に大きくなると予想します。
どれくらい値段が上がるの?
2027年の省エネ基準変更により…
10,000円~15,000円の値上がりを予想します。
物価も考慮すると2025年モデルより15,000円~20,000円の値上がりを予想
まずはCXシリーズの年度別の定価を確認していきます。
ダイキンCXシリーズの価格推移
年度 | 定価 | 値上げ |
---|---|---|
2013年 | 250,000円 | ー |
2014年 | 260,000円 | 10,000円 |
2015年 | 260,000円 | 0円 |
2016年 | 260,000円 | 0円 |
2017年 | 260,000円 | 0円 |
2018年 | 270,000円 | 10,000円 |
2019年 | 270,000円 | 0円 |
2020年 | 270,000円 | 0円 |
2021年 | 270,000円 | 0円 |
2022年 | 280,000円 | 10,000円 |
2023年 | 300,000円 | 20,000円 |
2024年 | 320,000円 | 20,000円 |
2025年 | 340,000円 | 20,000円 |



次に2027年度の省エネ基準の影響を考察します。
2025年時点の省エネ基準は2.2kW(6畳用)の場合、APF5.8が基準です。2027年度からAPF6.6が基準値になります。
ダイキンCXシリーズ(6畳用)のAPFは5.8、ダイキンAXシリーズ(6畳用)のAPFは6.7です。
CXシリーズは2027年度省エネ基準を満たしていないので、このままでは販売ができなくなってしまいます。
今回はダイキンAXシリーズとCXシリーズの6畳用を比較して、価格を予想します。
AXシリーズ | CXシリーズ | |
---|---|---|
室外機定価(税込) | 266,200円 | 220,000円 |
室外機重量 | 35kg | 21kg |
室外機サイズ | 795*300*610 | 675*284*555 |
圧縮機品番 | 2445515 | 2445515 |
室外機は定価(税込み)で46,200円の違い。
室外機重量差は14kgあり、室外機はAXシリーズの方が大きいため重くなります。
省エネ性能が高いとエアコンの心臓部である圧縮機の効率がいいのでは?と思われがちですが、実は同じ圧縮機を使用しています。省エネ性能を簡単に上げるには熱交換器の面積を広くすることです。
以上より、室外機の価格が高級モデルに近くなると想像ができます。
ダイキンCXシリーズ6畳用の定価は374,000円(税込み)
2025年6月時点のダイキンCXシリーズ価格は90,120円(税込み)です。




CXシリーズは定価の約24%で販売されていることになります。
AXシリーズの室外機との価格差は46,200円(税込み)なので、24%をかけた約11,100円(税込み)が値上がりする可能性がある価格になるでしょう。
モデルによって値引率も違いますので、前後5,000円くらいはズレると思います。
繰り返しになりますが……
2027年度モデルは省エネ基準により10,000円~15,000円の値上がり。
物価も考慮すると2025年モデルより15,000円~20,000円の値上がりを予想。



あまり使わない部屋のエアコンは買った方がお得です。
頻繁に使うエアコンであれば急ぐ必要はありません。
エアコンをたくさん使うなら、値上がり分は電気代で回収できるから
ダイキンCXシリーズ(6畳用)の年間消費電力量は717kWhに対して、ダイキンAXシリーズ(6畳用)は603kWh。
電気代に換算(1kWhあたり30円)すると、年間で3,420円です。約5年で値上げ分は回収できます。
18畳用の場合は年間で13,890円の差が出る計算です。大きいエアコンの値上げ幅は少し大きくなるかもしれませんが、電気代で回収できます。



2027年度からエアコンは値上がりすると思いますが、電気代まで考えたトータルコストは安くなるでしょう。
電気代で回収できるなら早く省エネ性能が高いエアコンを売ればいいのでは?
スタンダードモデルは販売価格が安い方が売れるんです!
本当に安くなるかわからない電気代よりも、今払う金額を少なくしたいと思う人も多いと思います。
エアコンを安く買いたいと思っている人は2026年11月ごろまでにエアコンを買い替えることをおすすめします。



2027年度から販売できなくなるエアコンは、メーカーも生産数を調整してくると思います。早めに買っておくと安心です。