「エアコンは6畳・10畳・14畳以外は買ってはいけない!」というYoutube動画や記事を見ることがあると思います。
エアコンは定格能力値が小さいエアコンの方が販売価格が安いので、小さいエアコンで本当に空調ができるなら小さいエアコンを買って節約したいと思いますよね。
「エアコンは6畳・10畳・14畳(200V)以外は買ってはいけない!」は間違いです
本記事では「エアコンは6畳・10畳・14畳以外は買ってはいけない!」と言われる理由と、間違いだと言い切る理由を解説し、エアコンの能力はどうやって決めるのが安心なのか解説していきます。
管理人:おすけぞー
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エアコンは6畳・10畳・14畳以外は買ってはいけない!と言われる理由
カタログには、エアコンの定格能力は対応畳数が大きくなればなるほど、エアコンの能力も大きくなるように記載してありますが、カッコ内の最大能力は畳数が大きいエアコンでもあまり変わりません。
ダイキンのAXシリーズの畳数別の定格能力/最大能力を分かりやすく表にすると下記のようになります。
ダイキンAXシリーズ能力
エアコンの暖房最大能力を見ると、3パターンに見えますね!
これが「エアコンは6畳・10畳・14畳(200V)以外は買ってはいけない!」と言われる理由です。
エアコンは能力が違うと何が違うの?
6畳~8畳、10畳~14畳(100V)、14畳~で最大暖房能力が同じってどういうこと?
対応畳数が違うと何が違ってくるのか気になりますよね。
部品から制御方法まで解説します。
部品型番の違い
ダイキンAXシリーズの部品で比較します。同じ型番のものは番号を付けています。
畳数 | 圧縮機 | プリント基板 |
---|---|---|
6畳 | 2445515 ① | 2557931 |
8畳 | 2445515 ① | 2557933 |
10畳 | 2551969 ➁ | 2557935 |
12畳 | 2428495 ➂ | 2557937 |
14畳(100V) | 2551969 ➁ | 2557939 |
14畳(200V) | 2428495 ➂ | 2558062 |
18畳 | 2428495 ➂ | 2558066 |
20畳 | 2428495 ➂ | 2558070 |
23畳 | 2557308 ④ | 2558074 |
26畳 | 2557308 ④ | 2558078 |
29畳 | 2482273 ⑤ | 2558082 |
エアコンの能力を決める重要な部品である圧縮機ですが、能力が違っても同じものを使っています。
圧縮機の部品型番を見ると6畳、10畳、14畳(200V)は、1つ2つ上のエアコンと同じものを使っていますので、最大能力が同じになるというのは納得ですよね。
何が違うかと言うとプリント基板、ファン、室外機の大きさなどが違います。
- 圧縮機回転数の制御
- 室外機ファン風量
- 室内機ファン風量
- 室外機の大きさ
冷房運転時は圧縮機の回転数に制限を設定しています。
冷房運転時は必要以上の能力が出てしまうと、エアコン本体内が結露してしまい故障の原因につながります。負荷に対して適切な制御ができるようにされています。
暖房は圧縮機をフル回転させて暖房しても結露はしないため、制限がかけられていないので最大能力は同じになります。
室外機・室内機の風量は、能力が大きいエアコンの方が大きく設定されています。
熱負荷に応じだ風量が確保できるようになっていて、最大暖房能力が同じでも大きい能力のエアコンの方が5%~30%程度多くの風量が出ます。
室外機の風量が大きいと熱交換効率が良くなり省エネになり、室内機の風量が大きいと早く空調ができます。冷房であれば冷えすぎた風を出しにくいので快適性も上がります。
室外機の大きさが違う
ダイキンAXシリーズの室外機の大きさです。
特に注目したいのは、7.1kWから室外機が大きくなっています。それに伴い冷媒配管サイズも大きくなります。
最大暖房能力は同じですが効率や快適性、きちんと空調ができるように考えられています。同じ性能のものを高く売ろうとしているわけではありません。
エアコンは6畳・10畳・14畳以外は買ってはいけない!が間違いの理由
「エアコンは能力が違うと何が違うの?」で書いたことと、「エアコンは6畳・10畳・14畳以外は買ってはいけない!」という理由が最大暖房能力だけを見て言われていることが多いからです。
圧縮機は同じものを使用していても、冷房能力はあえて制限がかけられています。理由は露付防止制御などエアコンを保護するためです。露付防止とはエアコン本体内部の重要部品に結露が発生して、部品に悪影響が出ないようにすることです。
エアコンを選定する場合は必ず冷房能力を見る必要があります。
部屋を冷やすのはエアコンしか手段がありません。
エアコンは室内温度と設定温度を見ながら圧縮機の回転数を決めていて、ファン風量もエアコンの能力によって異なります。最適な能力のエアコンを選定しないと快適性のみでなく、エアコンが効かなかったり、機械保護のために運転を停止させるリスクもあります。
6畳用エアコンでリビングを空調しているコメントもありますが、それは熱負荷が少ない住宅であったり、内部発熱の少ない環境だからです。
熱負荷があるにも関わらず、エアコンの最大能力だけ見てエアコンの選定をするのは間違いです。
エアコンの能力はどうやって決めるのか
結論を言えば、カタログ記載の畳数より1つ下の能力が適正です。
詳しく知りたい方は下記記事を参考にしてください。
ここでは簡単に説明します。
エアコンの能力は、厳密に言えば熱負荷計算をして決める必要があり、外から入ってくる熱負荷、部屋にある家電製品等の発熱量を計算して決めます。
でも実際にエアコンを買うときはそんな計算はできませんよね。
そこで参考にするのがメーカーのカタログに記載してある「〇畳用」という記載だと思います。
確かにこの「〇畳用」だけを信じで買う必要はありません。〇畳用エアコンというのは昭和時代の建物を想定しているため、気密性や断熱性能に優れた現代の家では過剰スペックになります。
エアコンの稼働状況
冷房運転も暖房運転も定格能力の60%以下で運転している時間が長いです。カタログに記載してある畳数でエアコンを選ぶと上の図のようになります。
夏の寝るときにしかエアコンを使わないなら、カタログ記載の2つ下の畳数のエアコンを選んでも良いと思いますが、勉強などで夜間に暖房を使用するなら、1つ下までにした方がいいでしょう。