エアコンの除湿には弱冷房除湿と再熱除湿の2種類ありますが、ダイキンエアコンの各シリーズがどちらの除湿方式か分からないという人も多いのではないでしょうか。
ダイキンのカタログには3つの除湿方式が記載してありますが、エアコンに詳しくない人が見ても分からないと思います。
本記事では冷房と除湿の違いと、ダイキンの3つの除湿方式を詳しく解説し、弱冷房除湿と再熱除湿のメリット・デメリットもお伝えしていきます。

管理人:おすけぞー
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空調機器:ダイキン工業
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冷房と除湿…なにが違うの?
冷房運転は、室内空気の「温度」を下げることを優先に考えた機能。
除湿運転は、室内空気の「湿度」を下げることを優先に考えた機能。
■冷房はどうやって温度を下げているの?
室内機の中にある熱交換器(金属の菅がたくさんあるもの)に冷たい冷媒を流し、そこにファンで室内の空気を送ることで、冷たい風ができて部屋の温度が下がっていきます。
■除湿はどうやって湿度を下げているの?
冷たい飲み物の入った缶に水滴が付いているのは誰もが経験した事があると思います。
熱交換器に冷たい冷媒を流し、そこにファンで空気を送り熱交換器にあてることで、結露させます。
結露した水分をホースを通して部屋の外に捨てることで、部屋の水分量を減らすという事を繰り返して湿度を下げています。
■除湿運転が寒くなるのはなぜ?
除湿運転は、除湿運転モードに切り替えた「今の温度」を維持しながら除湿しようとします。
仮に室温が27℃として、ジメジメするから除湿に切り替えた場合、27℃を維持しつつ湿度を下げようとします。
除湿運転が寒くなる理由の1つは、湿度が下がると体感温度は下がることです。湿度が20%下がると体感温度は1.5~2℃下がっていると感じます。

「冷房運転」も「除湿運転」もやっていることは同じなんです。
冷たい冷媒を熱交換器に流して、空気を送ります。
すると、空気の温度も下がるし、除湿もされます。
除湿運転をすると寒くなるというのを改善しようとした機能が「再熱除湿」になります。



除湿運転を使いたいけど、寒くなるのが不快な人は再熱除湿を選ぶと不快感は減ります。
ダイキンエアコンも機種によって除湿方式が違います。
購入時は機能をきちんと理解したいですね!
弱冷房除湿と再熱除湿の違い
弱冷房除湿は湿度を下げることを優先としていますが、やっていることは冷房運転と大きくは変わりません。除湿運転をすると寒くなるのは、部屋の温度が下がってしまうことと、除湿されると体感温度が下がることが原因です。
部屋の温度が下がってしまい、除湿運転は不快だと思う人が多いと思います。そこでルームエアコンでも寒くなりにくい除湿運転をしようというのが再熱除湿です。
ダイキンのルームエアコンは厳密には空調業界でいうところの再熱除湿ではありませんが、効果はほとんど同じです。
再熱除湿のイメージ画像


除湿するためにいったん空気の温度を設定温度よりも冷やして、結露させて除湿します。
そのまま冷えた空気を部屋に送ってしまうと寒くなってしまうので、冷やした分だけ暖めなおして部屋に空気を送るのが再熱除湿です。暖めなおすという工程がある分、電気代は高くなってしまう傾向にあります。
電気代:再熱除湿≒冷房>弱冷房除湿
ダイキンエアコンの除湿機能



2024年モデルのダイキンエアコンは、4つの除湿運転があります。
「9段階セレクトドライ」「さらら除湿」「さらら除湿(ハイブリッド方式)」「さらら除湿(リニアハイブリッド方式)」です。
名称からはどんな除湿機能なのか全然わかりませんよね。
1つずつ説明していきます。
9段階セレクトドライ
この除湿運転は部屋が寒くなる「弱冷房除湿」で、弱冷房運転と停止を繰り返して除湿をする機能です。
除湿運転は除湿運転を開始した室温を基準に、湿度を下げるように運転します。
9段階セレクトドライは除湿運転を開始した室温を基準温度として、-2℃(除湿効果高い)~ +2℃(除湿効果低い)の範囲内で0.5℃単位の9段階で湿度調整ができます。



CXシリーズ、VXシリーズ、Eシリーズが該当します。
リモコン画面




弱冷房運転で室温を下げずに満足のいく除湿を行うことは難しいです。
ゲーミングPCなどの高発熱機器が常時運転している部屋であれば、寒くならずに除湿ができる可能性はあります。
さらら除湿
除湿すると必ず温度は下がってしまいますので、そこで部屋の暖かい空気と混ぜて室温に近づけて送風するという除湿方法です。
部屋の空気と混ぜて送風しても吹き出す空気温度は上がるが、やっていることは弱冷房除湿です。



SX(risora)シリーズが該当します。
さらら除湿(ハイブリッド方式)


さらら除湿(ハイブリッド)は、空調業界では厳密には再熱除湿とは言えませんが、再熱除湿に近い効果が期待できます。
再熱除湿は冷やして除湿してから熱を加えて空気をもとの温度に戻すこと(27℃→20℃まで下げて除湿→27℃に暖める)ですが、さらら除湿は温めた空気と混ぜることで温度をもとに戻すように制御します。
さらら除湿(ハイブリッド)は冷やして除湿した冷たい空気と、除湿するための空気とは別に吸い込んだ空気を温めて、除湿時に冷えた空気と混ぜることで熱のプラスマイナスを少なくしています。
弱冷房除湿やハイブリッド除湿と比較すると、寒くなる除湿という感覚は非常に少なくなります。欠点としては、あたためる加熱能力が一定のため、状況によっては合わないことがあります。



MX(うるさらmini)シリーズ、GXシリーズ、FXシリーズが該当します
うるさらminiの除湿画面


うるさらminiは室内機に湿度センサーが付いているので、目標湿度が設定できます。
さらら除湿(リニアハイブリッド方式)


さらら除湿(リニアハイブリッド方式)はさらら除湿(ハイブリッド方式)を進化させた機能です。再熱除湿により近い効果が期待できます。
さらら除湿(ハイブリッド方式)の欠点は加熱能力が一定だったことですが、リニアハイブリッド方式では温める温度を可変にすることができるようになりました。
冷やしてしまう分だけ温めることができるようになったということです。



RX(うるさらX)シリーズ、AXシリーズが該当します。



除湿運転で寒くなるのが不快な人は、さらら除湿(リニアハイブリッド方式)のエアコンがおすすめです。
まとめ
- 9段階セレクトドライ=弱冷房除湿
- さらら除湿=弱冷房除湿
- さらら除湿(ハイブリッド方式)=再熱除湿方式
- さらら除湿(リニアハイブリッド方式)=再熱除湿方式
機能/価格


- Eシリーズ 9段階セレクトドライ=弱冷房除湿
- VXシリーズ 9段階セレクトドライ=弱冷房除湿
- CXシリーズ 9段階セレクトドライ=弱冷房除湿
- GXシリーズ さらら除湿(ハイブリッド方式)=再熱除湿
- SXシリーズ さらら除湿=弱冷房除湿
- MXシリーズ さらら除湿(ハイブリッド方式)=再熱除湿
- AXシリーズ さらら除湿(リニアハイブリッド方式)=再熱除湿
- RXシリーズ さらら除湿(リニアハイブリッド方式)=再熱除湿