最近の家庭用エアコンには、付加価値としていろいろな機能が付いていますが、その中でも空気清浄機能は気になる機能ではないでしょうか。
花粉・カビ・ウイルス・菌などの有害物質を抑制してくれる機能がエアコンに付いていたら欲しくなりますよね。
でも同時にどのくらいの効果があるのかも気になりますよね。効果があるなら空気清浄機を別に買う必要もなくなりますからね。
- エアコンの空気清浄機能は効果があるのか
- エアコンの空気清浄機能はどんな仕組みなのか
- ストリーマ・ナノイー・プラズマクラスターの違いは?
- 空気清浄機レベルの機能を持ったエアコンはあるのか
- まとめ
管理人:おすけぞー
- 建築設備機器の専門商社勤務(2007年~)
- 2級管工事施工管理技士
- 専門分野
空調機器:ダイキン工業
ダイキン製品の販売からサービス・改装・技術的な問い合わせに対応。
家庭用エアコン・業務用エアコン・エコキュート・セントラル空調製品までダイキン製品を取扱しています。
ダイキン製品が専門のため、ダイキン製品を使って解説します。
エアコンの空気清浄機能は効果は?
エアコンの空気清浄機能は高性能ではありません。
エアコン本来の目的は、空気を冷やしたり温めたりすることが目的で、空気清浄機能は競争激化による付加価値の1つとして存在します。
空気清浄機能付きと無しだったら空気清浄機能付きが欲しくなります。
カタログを見るとすごい性能が良い空気清浄機能が付いているように見えますからね!でも実際はそこまでの性能はないです。
ダイキンEシリーズの抗ウイルスフィルター
画像右側のフィルターと熱交換器の間にある白い物ものが抗ウイルスフィルターになります。
ダイキン「うるさらmini」の集塵・脱臭フィルター
熱交換器の前に設置してある黒いものが「集塵・脱臭フィルター」です。
見ていただくと分かると思いますが、どちらもフィルター面積と比較して小さすぎますよね。
問題は他にもあり、エアコンは構造上、エアコン上部から空気を吸ってきて、下部にある吹出口から風を送ります。
自宅のエアコンの前面カバーを開けてフィルターの汚れを確認してほしいのですが、上部ほど汚れていると思います。
何が言いたいかというと、せっかく抗ウイルスフィルターや脱臭フィルターが付いていても、前面設置だとあまり空気が通過せず、処理空気量が少なくなります。しかもこれらのフィルターがあると空気抵抗になるため、処理できる空気量はより少なくなります。
エアコンは設定温度に到達するとファンを止めてしまいますし、そもそも冷房運転時はカビを発生させてしまう機器だということを忘れてはいけません。
ストリーマ・ナノイー・プラズマクラスターの違いは?
各メーカーが各社オリジナルの名前で機能名を付けるので、違いがわかりにくいですよね。
- ダイキン工業:ストリーマ
- シャープ:プラズマクラスター
- パナソニック:ナノイー
ストリーマ
- 高速電子を放出
- 空気中の窒素や酸素と衝突・合体してOHラジカル・酸素ラジカルなどの4種類の分解素を生成
- 空気中に放出される
- 4つの分解素が有害タンパク質を分解
プラズマクラスター
- +-の電圧をかける
- 空気中の水分や酸素から、H+やO2-の2つの分解素を作る
- 空気中に放出される
- 有害タンパク質を分解
ナノイー
- 空気中の水分を結露させて集めて高電圧をかける
- 水が分解されてOHラジカルを含んだナノサイズの水分になる
- 空気中に放出される
- 有害タンパク室を分解
どのメーカーも有害物質を分解するために不安定な分子を作り、発生させた分子が有害物質に触れると、有害物質から原子を奪って性質を変えることで分解しています。
OHラジカルなどの分解素は通常、発生してすぐに空気中の物質と反応しますので、浮遊している有害物質にのみ効果があります。ダイキンのカタログには浮遊する有害物質を抑制すると記載してあります。
ナノイーはOHラジカルを水で包んで運ぶので、10分くらいOHラジカル分子を維持できるようです。ナノイーは浮遊物質のみではなく、付着した有害物質にも効果があります。
空気清浄機能や空気清浄機から発生するOHラジカルは、人体への影響も懸念されていますが、影響はないとの結果が出ているようです。気になる人はナノイーは止めた方が良いです。
浮遊物質 | 付着物質 | |
---|---|---|
ダイキン | 〇 | × |
シャープ | 〇 | × |
パナソニック | 〇 | 〇 |
こうやって見るとパナソニックのナノイーが1番性能が良く見えますね。
浮遊物質の分解能力はダイキンが1番だと思います。
空気清浄機レベルのエアコン
シャープのAirestは上部の吸込口に空気清浄機に入っているような分厚いフィルターが付いています。
シャープのAirestだけは空気清浄機に近い空気清浄機能になります。
熱交換器とファンの位置関係で、内部結露も抑えられて内部にカビが発生しにくい構造になっています。
空気清浄機としても使用したい人が購入されることが多いエアコンだと思いますが、使用後に内部乾燥をきちんとしてもエアコンは必ずカビが発生します。
空気をきれいにしたいなら、やはり空気清浄機(加湿機能なし)を設置するのがベストです。
まとめ
■エアコンの空気清浄機能はそこまで高性能ではない
抗ウイルスフィルター・脱臭フィルターが小さく、処理できる風量が少ない。
設置位置も前面であり抵抗もあるため、より処理できる風量が少なくなる。
■ストリーマー・プラズマクラスター・ナノイーの違い
イオンを発生させる仕組みが異なる。
ストリーマー・プラズマクラスターは浮遊物質にのみ効果があるが、ナノイーは付着物質にも効果あり。
■空気清浄機同等の空気清浄機能があるエアコン
シャープのAirestは空気清浄機に近い空気清浄機能になります。
エアコンの空気清浄機能はあまり効果がないため、別途空気清浄機を置くことをおすすめします。