三菱電機の業務用エアコンには「スリムエアコン」というシリーズがあり、「スリムエアコン」には標準機と省エネ機の2種類があります。
省エネ機はスリムZR、標準機はスリムERです。
スリムZRの方がスリムERより省エネだという事はわかるけど、本体価格はどれくらい違って、省エネ性能差で電気代はどれくらいの差が出るのか気になりますよね。
- イニシャルコスト(機器本体価格)の差
- ランニングコスト(電気代)の差
- 具体的に何が違うのか
- どちらが売れているのか

管理人:おすけぞー
- 建築設備機器の専門商社勤務(2007年~)
- 2級管工事施工管理技士
- 専門分野
空調機器:ダイキン工業
ダイキン製品の販売からサービス・改装・技術的な問い合わせに対応。
家庭用エアコン・業務用エアコン・エコキュート・セントラル空調製品までダイキン製品を取扱しています。

ダイキンエアコンの1番の競合先は三菱電機なので毎年モデルチェンジのたびに省エネ性・施工性・機能比較をしています。



今回は4方向カセット3馬力(80形)で比較をしていきます。
■イニシャルコスト(本体価格)
スリムZR PLZ-ZRMP80HF4 | スリムER PLZ-ERMP80HE4 | |
---|---|---|
定価(税込) | \1,516,900 | \1,447,600 |
販売価格(税込) | \240,808 | \210,404 |
値引率 | 84.1% | 85.5% |
掛率 | 15.9% | 14.5% |
上記の販売価格は価格.comの最安値価格ですが、ダイキン製品も価格.comで調べるとものすごい安値で販売されています。ほぼメーカーからの仕入値での販売です。
業務用エアコンは施工のプロが買って、機器+工事費込みで販売するために購入している価格ですので、家庭用のルームエアコンと違って、最終ユーザーが機器を支給して工事のみをやってくれる業者はほとんどありません。
ですので、最終ユーザーには業者の利益が入ってくるので、機器代金としては上記販売価格より3割以上は高くなるのが通常です。



3馬力のスリムZRとスリムERの本体価格の差は約4万~6万円程度になると思います。
この差額を電気代で回収するにはどれくらいの期間が必要か?ですよね。
■ランニングコスト(電気代)
ランニングコストはAPFの数字が高いほど省エネであり、電気代が安くなります。
スリムZRのAPF


スリムERのAPF


P80形が3馬力になりますが、スリムZRのAPFは7.2、スリムERのAPFは6.3です。この差が電気代でどの程度になるかですが、年間約6,000円~7,000円の違いになります。
条件としては、空調期間を冷房期間(5月~10月)、暖房期間(12月~3月)、空調時間(8時~21時)、稼働日数週6日とした場合です。専用ソフトを利用しているので計算式までは公開ができません。
スリムZRとスリムERの年間消費電力の差は約200kWhで、kWh単価を掛けてもらえれば年間の電気代差額がでます。
仮に32円/kWhとするとスリムZRとスリムERの電気代差額は…
年間6,400円スリムZRの方が安くなる計算



エアコンがたくさんあれば、全てスリムZRにすることで、契約電力が落とせて基本料金も安くなるかもしれません。



イニシャルコストの差額を電気代で回収するには約6年~10年かかります。
■スリムZRとスリムERの違い
省エネ性と快適性に違いがあります。
省エネ性としては、スリムZRは室外機を大きくし熱交換器面積を多くとることで、熱交換効率を高め、スリムERより省エネになっています。
スリムZR室外機外観


スリムER室外機外観


機能一覧


スリムZRのみの機能として下記があります。
- 風あてよけ自動
- 人検知ムーブアイ
- ムーブアイmirA.I.
- ぐるっとスマート気流(ぐるスマ)
- センシングドライ



上記のような付加価値的な機能は、メーカー関係なく使いこなせている実際の現場はほとんどないです。
快適機能は機能を使う前提で動線、座席配置までを考慮して設計して、初めて有効に使える機能かと思います。
■スリムZRとスリムER どちらが売れているの?
ダイキン製品と競合するのは圧倒的にスリムERです。ダイキン製品もスリムER相当のシリーズの方が圧倒的に売れています。
スリムZRとスリムERの1台当たり電気代の差額がP80形で年間5,000~8,000円程度になります。初期投資費用の差額は4万~6万円。
借入であれば金利、リースであればリース料が発生しますので、電気代で初期投資費用の差額を回収することは簡単ではないんですね。
どんな時にスリムZRのような省エネ機が売れるかというと、補助金が出るような案件が多いです。現場の運転環境次第ではランニングコストで回収できる期間が短い場合もあると思います。もちろん地球環境を考えて省エネ機にする事業者様もいるかと思います。
補助金制度によりますが、一律の金額ではなく、かかった費用の1/3程度など、割合で補助する制度が多いのでスリムZRを採用しても初期費用が抑えられます。
補助金申請は省エネ効果・CO2削減効果などの計算書が必要になってきます。自分では作成できないため専門業者の力を借りる必要が出てきます。エアコン新設・エアコン更新のすべてに補助金が出るわけではありませんが、ダメ元で相談してみる価値はあります。
補助金申請まで対応可
補助金申請もできる業者を紹介してもらえます